ことわざは生きるためのヒント!


小学館 ことわざを知る辞典
著 者:北村孝一
出版社:小学館
ISBN13:978-4-09-504183-4


本書は『故事俗信ことわざ大辞典 第二版』(小学館・2012)の監修者・北村孝一さんが、手軽にことわざに触れられる、約1500項目の小辞典として編んだものです。

取り上げた項目は、現代の人の生活実感から離れたことわざは避け、あらためて「なるほど」と思えるようなことわざを多く収録するようにしました。例えば次にあげたことわざは、はじめて目にする人でも、意味を知って納得するかたが多いのではないかと思います。

「合わせ物は離れ物」
「一杯は人酒を飲む、二杯は酒酒を飲む、三杯は酒人を飲む」
「親子の仲でも金は他人」
「結婚前は目を大きく見開き、結婚したら半分閉じよ」
「自慢高慢馬鹿の内」
「魚は頭から腐る」
「女房の妬くほど亭主もてもせず」
「下手の考え休むに似たり」

また、「孝行のしたい時分に親はなし」はよく知られていますが、類句の「石に布団は着せられず」のような比喩の効いた表現に触れられるのも、ことわざ辞典のおもしろさではないでしょうか。

さらに、この辞典では地方のことわざにも注目しました。「命(ぬち)どぅ宝」(沖縄のことわざ)「天から役目なしに降ろされたものは一つもない」(アイヌのことわざ)など、辞典にはじめて載ることわざもあります。

北村さんが特に注目した100のことわざについては、1ページの大項目で詳しく解説されています。「縁の下の力持ち」の「力持ち」が大きな物を持ち上げる見せ物芸のことだったとか、「灯台もと暗し」の「灯台」は海の灯台ではないなど、意外なエピソードも多く語られています。(松中健一 / 小学館出版局 辞書編集)