子どもの頃、「これからどうしたらいいんだろう」と不安になったこと、ありませんでしたか?
人生の歩きかた図鑑
著 者:石井光太
出版社:日本実業出版社
ISBN13:978-4-534-05696-2
いまでも、ふと思い出す光景があります。それは、中学で軽いいじめにあい2週間近く学校を休んだとき、不在がちな父母の代わりに、同居して面倒を見てくれていたおばあちゃんが病気になったとき。私は「どうしたらいいんだろう」「この先どうなるんだろう」「どうして誰も助けてくれないんだろう」と心もとない気持ちで、誰かが私が抱えているこまっていることを全部解決してくれたらいいのに、と一人で夢見ていました。
もちろん、そんなうまい話はなく、私は問題に蓋をして我慢したりやり過ごしたりしておとなになりました。けれどそうしてやり過ごせた私はまだ恵まれていて、子どもたちの中には、やり過ごすこともできずに心をとざしている子や、不登校やひきこもりを選んだ子、どうしようもなくなって非行に走ったり、自殺を考えたりする子など、いろんな子どもがいます。
石井光太さんは、そんな子どものリアルを取材するノンフィクション作家です。私はもともと石井さんのファンで、一緒に本を作りたいと思っていましたがテーマが決まらずにいました。「そうだ、現代の子どもに向けた仕事図鑑を書いてもらいたい」、そうひらめいたのは2017年のこと。私は「石井さん版の、落ちこぼれのための『13歳のハローワーク』のような本を書いてください」とお願いし、了承してもらいました。
当初の「落ちこぼれのための職業図鑑」コンセプトは、石井さんと話すうちに「職業を羅列する図鑑にはしない」「不登校、ひきこもり、発達障害、虐待、LGBT、貧困、非行など、問題をかかえた子どもたちに、解決方法や相談窓口があることを伝える」「生きる道はあること、子どもを真剣に助けたいおとなもたくさんいることを伝える」などに整っていきました。それを形にするべく、フリースクールの運営者、スクールソーシャルワーカー、協力雇用主、児童養護施設職員、NPOの代表の人などに寄稿を依頼したり、「24時間子供SOSダイヤル」などの相談窓口に電話取材をしたりしているうちに、2年の月日が経っていました。
結局、「子どもの悩みを解決し、進路や職業の選択肢を示す本」の全貌が見えてきたのは、発売の2カ月前のこと。「どんなタイトルだと読者に響くの?」と、初校を前にした上司や営業部が困惑し、タイトル会議が1時間を越えた頃、私の口をついたのが「どうしたらいいかわからない」というワードでした。
そうだった。あのころの私と同じような、問題をかかえていて相談も解決もできなくて、おとなから「変わった子」「うまくできないダメな子」と思われている子に向けて、問題の解決方法や進路や職業の多様性を伝えたかったんだと強く思いました。
会議後、ドキドキしながら石井さんに決まったタイトルをメールしました。返信はメールではなく電話。「タイトル、いいと思いますよ」。たった一言の、でも、力強いお返事でした。
いま、「これでいいのかな」「これからどうしよう」と、不安に感じている子どもたちも多いかもしれません。私が言えることは、月並みですが「人生は何が起きても大丈夫」ということ。「助けて」とSOSを発してさえくれれば、助けてくれるおとなはたくさんいます。でも「助けて」と言いづらいときもあります。そんなときこそ、本書を開いてみてください。解決方法が書いてあります。
ノンフィクション作家、石井光太さんと子どもの現場のプロが知恵を持ち寄って完成しました。困っている子どもたちを助けたいと思っている、大人の方たちにも読んでいただきたい本です。ぜひ、ご高覧ください。(山田聖子 / 日本実業出版 第一編集部)
著 者:石井光太
出版社:日本実業出版社
ISBN13:978-4-534-05696-2
いまでも、ふと思い出す光景があります。それは、中学で軽いいじめにあい2週間近く学校を休んだとき、不在がちな父母の代わりに、同居して面倒を見てくれていたおばあちゃんが病気になったとき。私は「どうしたらいいんだろう」「この先どうなるんだろう」「どうして誰も助けてくれないんだろう」と心もとない気持ちで、誰かが私が抱えているこまっていることを全部解決してくれたらいいのに、と一人で夢見ていました。
もちろん、そんなうまい話はなく、私は問題に蓋をして我慢したりやり過ごしたりしておとなになりました。けれどそうしてやり過ごせた私はまだ恵まれていて、子どもたちの中には、やり過ごすこともできずに心をとざしている子や、不登校やひきこもりを選んだ子、どうしようもなくなって非行に走ったり、自殺を考えたりする子など、いろんな子どもがいます。
石井光太さんは、そんな子どものリアルを取材するノンフィクション作家です。私はもともと石井さんのファンで、一緒に本を作りたいと思っていましたがテーマが決まらずにいました。「そうだ、現代の子どもに向けた仕事図鑑を書いてもらいたい」、そうひらめいたのは2017年のこと。私は「石井さん版の、落ちこぼれのための『13歳のハローワーク』のような本を書いてください」とお願いし、了承してもらいました。
当初の「落ちこぼれのための職業図鑑」コンセプトは、石井さんと話すうちに「職業を羅列する図鑑にはしない」「不登校、ひきこもり、発達障害、虐待、LGBT、貧困、非行など、問題をかかえた子どもたちに、解決方法や相談窓口があることを伝える」「生きる道はあること、子どもを真剣に助けたいおとなもたくさんいることを伝える」などに整っていきました。それを形にするべく、フリースクールの運営者、スクールソーシャルワーカー、協力雇用主、児童養護施設職員、NPOの代表の人などに寄稿を依頼したり、「24時間子供SOSダイヤル」などの相談窓口に電話取材をしたりしているうちに、2年の月日が経っていました。
結局、「子どもの悩みを解決し、進路や職業の選択肢を示す本」の全貌が見えてきたのは、発売の2カ月前のこと。「どんなタイトルだと読者に響くの?」と、初校を前にした上司や営業部が困惑し、タイトル会議が1時間を越えた頃、私の口をついたのが「どうしたらいいかわからない」というワードでした。
そうだった。あのころの私と同じような、問題をかかえていて相談も解決もできなくて、おとなから「変わった子」「うまくできないダメな子」と思われている子に向けて、問題の解決方法や進路や職業の多様性を伝えたかったんだと強く思いました。
会議後、ドキドキしながら石井さんに決まったタイトルをメールしました。返信はメールではなく電話。「タイトル、いいと思いますよ」。たった一言の、でも、力強いお返事でした。
いま、「これでいいのかな」「これからどうしよう」と、不安に感じている子どもたちも多いかもしれません。私が言えることは、月並みですが「人生は何が起きても大丈夫」ということ。「助けて」とSOSを発してさえくれれば、助けてくれるおとなはたくさんいます。でも「助けて」と言いづらいときもあります。そんなときこそ、本書を開いてみてください。解決方法が書いてあります。
ノンフィクション作家、石井光太さんと子どもの現場のプロが知恵を持ち寄って完成しました。困っている子どもたちを助けたいと思っている、大人の方たちにも読んでいただきたい本です。ぜひ、ご高覧ください。(山田聖子 / 日本実業出版 第一編集部)