【2023.4.21】週刊読書人note.

 はちこ著『SNSで学ぶ 推し活はかどる中国語』(朝日出版社)

 ここ数年、韓国をはじめとし、グローバルな活動を展開するアイドルが急増している。自分の応援する対象――いわゆる「推し」が中華圏の人だった。「推し」が中国でも活動する。中国語話者の〝仲間〟とも交流・情報交換がしたい。そんな人たちにとって待望の〝語学書〟が朝日出版より刊行された。

 日本語や韓国語、英語が交り合う生き生きとして豊かな言葉たちは、どれも教科書には載らないものばかり。オタク用語だけでなく、基本的なSNS用語までカバーしており、微博の利用や中国サイトでの通販をしたいという人にとっても有用な一書となるだろう。

 さらに、本書のコラムや補足に書かれた中国の芸能事情、ネット事情、サブカルチャー事情はどれも最新のもの。中国ウォッチャーはもちろん、中国語に興味がない層も楽しむことができるものとなっている。(四六判・二三二頁・一九八〇円)
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 有隣堂YouTubeチーム著『老舗書店「有隣堂」が作る企業YouTubeの世界』(ホーム社)

 人気YouTubeチャンネル「有隣堂しか知らない世界」が書籍化。同チャンネルは、〝「有隣堂しか知らない」様々な世界を、スタッフが愛を込めてお伝えする〟をコンセプトに、老舗書店「有隣堂」の公式企業チャンネルとして二〇二〇年六月にスタート。有隣堂社員や社外ゲストによる熱のこもった商品プレゼンとMCであるR・B・ブッコローの「正直すぎる」毒舌がクセになると評判を呼び、チャンネル登録者数は現在二二・八万人(二三年四月)を突破。本書では、「地味で真面目が取り柄のような会社」が「普通じゃない」「自由すぎる」人気チャンネルを育て上げるまでの愛と苦闘(と笑い)の日々を有隣堂YouTubeチームの社員たち自らが語る。はじまりは「YouTubeやるぞ!」という社長の一声から。座して死を待つなの精神で知識ゼロから立ち上げた最初のチャンネル「書店員つんどくの本棚」は惨敗。だが失敗を経ての振りきったリニューアルから、怒濤の快進撃が始まる。「大きな問題なくやってこられているのは〔…〕私たちの土台が「接客業」だから」。失敗も成功も振り返ることで「地味で真面目」な書店の取りえが活きてくる。場を得たことで、社員たちの個性が輝き出す。「ゆうせか」ファンはもちろん、企業広報やオウンドメディアに関心のある方にも参考になる一冊。(四六判・二三二頁・一六五〇円)
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 松本俊彦編『孤独と孤立 自分らしさと人とのつながり』(日本看護協会出版会)

 ケアと社会課題をテーマとするブックレット「Nursing Today」の最新刊『孤独と孤立』が刊行された。本書では、「孤独は現代の公衆衛生上、最も大きな課題の一つ」と捉え、複雑な様相を見せる孤独・孤立の実態を把握。個々の事情・状況に適した支援の方法など、孤独と孤立の現代的な意味を探りながら、人と人とのつながりのあり方を考える。対談は、國分功一郎・松本俊彦「孤独・孤立と人のつながりを問う」。論稿は、大空幸星「「望まない孤独」に必要な予防型の孤独対策」/吉川徹「〝つながり〟のツールと「孤独・孤立」」/松本俊彦「コロナ禍における「孤立の病」 依存症とつながりの関係」/横山美江「「孤独・孤立」をめぐる社会背景と政策」。(A5判・六四頁・九九〇円)