【What's New!】週刊読書人11月17日号

【特集】

苅部直〈読書人カレッジ〉講義載録
<明治日本のポピュリズム?>
――福澤諭吉『学問のすゝめ』第十三編を読む

■特集 全集・講座・叢書・シリーズ 2023(6)(7)

【今週の読物】
◇連載=「ロメールの演出の裏側」(ジャン・ドゥーシェ氏に聞く)(聞き手=久保宏樹)(5)
◇連載=〈書評キャンパス〉三浦綾子著『塩狩峠』(古賀ゆり)(5)
◇連載=日常の向こう側 ぼくの内側(横尾忠則)(6)
◇連載=戯史 平成紀〈十一月〉(安倍夜郎)(7)


【今週の書評】
〈2面〉
▽田野大輔・小野寺拓也編著『〈悪の凡庸さ〉を問い直す』(橋爪大輝)
▽クロード・レヴィ=ストロース著『構造人類学ゼロ』(出口 顯)
▽岡孝著『梅謙次郎 日本民法の父』(辻村亮彦)

〈3面〉
▽林凌著『〈消費者〉の誕生』(原山浩介)
▽袁珂著『中国神話史』(牧角悦子)

〈4面〉
▽トーマス・ラマール著『アニメ・エコロジー』(西貝 怜)
▽柴崎祐二著『ポップミュージックはリバイバルをくりかえす』(土佐有明)
▽斎藤真理子著『本の栞にぶら下がる』(北條一浩)

〈5面〉
▽佐藤泉著『死政治の精神史』(杉田俊介)
▽尾竹紅吉/富本一枝著、足立元編『新しい女は瞬間である』(岡野幸江)
▽桜木紫乃著『ヒロイン』(歌代幸子)

巻頭特集は

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苅部直〈読書人カレッジ〉講義載録
<明治日本のポピュリズム?>
――福澤諭吉『学問のすゝめ』第十三編を読む

【本紙イントロより】
 二〇二一年からはじまった〈読書人カレッジ〉が、今年で三年目を迎えた。日本財団と共同し、全国の大学(図書館)にご協力いただき、本を読む大切さ、面白さを伝える試みで、本年度は、以下の九大学で開催されている。愛知県立大学・上智大学図書館・昭和女子大学・成城大学/図書館・西南学院大学・創価大学図書館・獨協大学図書館・東洋英和女学院大学・明治大学図書館(五十音順)。読書人への寄稿者を中心に、作家・評論家・研究者の方々が講師を担当し、各大学に赴き講義を行う。十月二五日には、愛知県立大学で、苅部直氏(東京大学教授)による、「明治日本のポピュリズム?――福澤諭吉『学問のすゝめ』第十三編を読む」が開かれた。本講座を載録する(第十三編「怨望の人間に害をあるを論ず」の本文を8面に抄録する)。(編集部)

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普段東京大学で教鞭をとる苅部直さんが、愛知県立大学にて読書人カレッジの出張講義をしていただきました。『学問のすゝめ』については皆さんもご存知だと思いますが、今回テーマとなった「第十三編」とは。

「初編の冒頭では「天は人の上に人を造らず人の下に人を造らず」と有名な文句を掲げています。身分制を否定し、どんな生まれの人でも、努力すれば、自分の仕事を選び、地位を上昇させることができるような社会をめざそう。そういうメッセージです。『学問のすゝめ』のほとんどの編は、そうしたポジティブなメッセージを述べている。これに対して第十三編だけは、タイトルを見ればわかるように、「怨望」という人間の情念を批判するという、ひたすらネガティブな内容です。」

『学問のすゝめ』が刊行されたときは、明治新政府樹立直後、身分制が解体され武士たちの不満が燻り、社会に不穏な空気が立ち込める時代だったと解説されます。異質な一編だったとはいえ、第十三編も時宜を得た内容だったことが解説されます。

「怨望」とは「その人の悪口を言い、相手が失却するように仕組んだりする。」ことだそうです。一口でいうとこのような説明ですが、ここに至るまでに当時の思想性、社会性も含めて解説されるので、より深く「怨望」を理解できます。そして、この明治時代の思想が今も十分通用することも最後に付け加えます。

「過去の思想にふれることは、そうした営みを可能にして、私たちの思考の態度を、より柔軟で寛容なものにします。」

古典にふれることの大切さを学生に説いて、本講座は締めくくられます。決して無くなることはない「怨望」の心をいかに和らげるか。福澤諭吉の思想からそのヒントを得ることができると思います。ぜひご一読ください。

[2023年11月17日号販売ページ]
https://jinnet.dokushojin.com/products/3515-2023_11_17_pdf

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【「読書人隣り」イベント情報】
 イベントスペース「読書人隣り」で近日開催するイベントをご案内します。会場は本の街、東京・神保町です(地下鉄神保町駅徒歩3分、JR御茶ノ水駅徒歩10分)。お仕事終わりや学校帰り、神保町散策のあとなどにぜひ遊びにいらしてください。
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★12月開講

 

バタイユ入門講義(第2回)
テーマ:『呪われた部分・全般経済学試論・蕩尽』第三部・第四部

【講師】
仲正昌樹

日 時:12月9日(土)18時~

いま、再注目のバタイユを、全体を俯瞰しつつ、丁寧に読解。最もまとまった形で表現されているテクストを通じて、その核心に迫る。

文学、芸術、哲学、経済人類学にわたる広範な批評活動を通して、フランス現代思想に強い影響を与え、日本でも栗本慎一郎等が主要な参照項にしていたことが知られているものの、バリエーションに富む独特の叙述スタイルのゆえに、その全体像があまり伝わっていない、バタイユの思想を、彼の思想が最もまとまった形で表現されている『呪われた部分・全般経済学試論』と『エロティシズム』を精読する。キリスト教神学、ヘーゲル、ニーチェと、レヴィ=ストロース、ドゥルーズ等を繋ぐバタイユの位置を明らかにすることを試みる。『内的体験』や『有罪者』『非―知』などのよく知られたテクストでの議論も可能な限り視野に入れながら解説していく。

【来場チケット】https://jinnet.dokushojin.com/products/seminar20231209
【配信チケット】https://jinnet.dokushojin.com/products/seminar20231209_online

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■『アンソロジスト』から生まれた文章講座 2024年上期(全5回) 

講 師:太田靖久(作家)、大槻慎二(『アンソロジスト』編集長)
日 程:2024年1月28日、2月11日、2月25日、3月10日、3月24日(隔週日曜)

雑誌『アンソロジスト』の編集長・大槻慎二と、作家・太田靖久が「アンソロジーの編み方」と「小説の書き方」をイチから教えます!
全五回の講座で、短篇小説(エッセイも可)を1篇書き上げ、文豪たちの作品と共に〝あなたの作品〟が収録された、世界で1冊のアンソロジーを作りましょう。

★全5回の講座の終わりに、〝あなたの作品〟が活字化されたリフィル(20冊×330円=6600円相当)と、あなたが編んだアンソロジー1冊(既刊リフィル5冊×330円+ブックジャケット1980円=3630円)をお持ち帰りいただけます。

★さらに優秀作品1作を『アンソロジスト』へ掲載!!

【参加申し込みURL】https://jinnet.dokushojin.com/products/writing_seminar2024_01

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【ご案内】
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