【What's New!】週刊読書人11月3日号

【特集】

逢坂冬馬インタビュー
<「架空の物語」でしか語り得なかった記憶>
『歌われなかった海賊へ』(早川書房)刊行を機に

【今週の読物】
▽横尾忠則「寒山百得」展(寄稿:山下裕二)(8)
◇連載=「ふたつの『聖杯伝説』」(ジャン・ドゥーシェ氏に聞く)(聞き手=久保宏樹)(5)
◇連載=〈書評キャンパス〉白尾悠著『サード・キッチン』(小笠原未惟)(5)
◇連載=日常の向こう側 ぼくの内側(横尾忠則)(7)
◇連載=American Picture Book Review(堂本かおる)(7)


【今週の書評】
〈3面〉
▽李昊著『派閥の中国政治』(関 智英)
▽河西陽平著『スターリンの極東戦略 1941-1950』(渋谷謙次郎)
▽有山輝夫著『近代日本メディア史 Ⅰ・Ⅱ』(土屋礼子)

〈4面〉
▽巽孝之監修/大串尚代・佐藤光重・常山菜穂子編著『アメリカ文学と大統領』(貴堂嘉之)
▽林洋輔著『体育の学とはなにか』(友添秀則)
▽三佐川亮宏著『オットー大帝』(大貫俊夫)

〈5面〉
▽横道誠著『解離と嗜癖』(頭木弘樹)
▽ルータ・セペティス著『モノクロの街の夜明けに』(みやこうせい)
▽ホイト・ロング著『数の値打ち』(山本貴光)

〈6面〉
▽ソーミャ・ロイ著『デオナール アジア最大最古のごみ山』(森田良成)
▽宮入恭平著『音楽と政治』(パンス)
▽山口祐加・星野概念(対話に参加)著『自分のために料理を作る』(松岡瑛理)

〈7面〉
▽廣松渉・吉田宏哲著『新版 仏教と事的世界観』(髙橋順一)
▽ティフェーヌ・サモワイヨ著『評伝 ロラン・バルト』(吉田朋正)

巻頭特集は

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逢坂冬馬インタビュー
<「架空の物語」でしか語り得なかった記憶>
『歌われなかった海賊へ』(早川書房)刊行を機に

【本紙イントロより】
 作家の逢坂冬馬さんが、二作目の長編小説『歌われなかった海賊へ』(早川書房)を上梓した。逢坂さんは、二〇二一年に『同志少女よ、敵を撃て』(以下『同志少女』)でアガサ・クリスティー賞を受賞しデビュー。独ソ戦で活躍した女性狙撃兵たちを描いた『同志少女』は、累計刊行部数五〇万部突破のベストセラーとなっている。新刊『歌われなかった海賊へ』では、ナチ・ドイツに反抗した少年少女に光を当てる。刊行を機に、逢坂さんにお話を伺った。(編集部)

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逢坂冬馬さんの新刊が刊行されるということで、発売を待ち望んでいた人も多くいらっしゃると思います。ベストセラーとなった『同志少女よ、敵を撃て』独ソ戦を物語として描き、それが多くの方に受容される一方で、現実世界ではロシアが戦火を開いた。そのことについての心情的な苦しみを本インタビューでは吐露しています。自分は次回作では何を描くべきか……。作家・逢坂冬馬の心根が垣間見える一場面でもあります。

その次回作となる本作はイントロにもあるように、ナチス政権下で体制に反抗した知られざる少年少女たちの物語です。モチーフとなった「エーデルヴァイス海賊団」をテーマにした小説をデビュー前にも書いていたことが明かされます。限られた資料の中から、この「エーデルヴァイス海賊団」についての記述を発見したときの衝撃を次のように語ります。

「歴史上でも類を見ない抑圧体制下において、特に高度な教育を受けたわけではない、半分不良少年・少女のような集まりが、ヒトラー・ユーゲントを直接ぶん殴っていた。政治目標を掲げているとは言い難いものの、ナチ体制は大嫌いというひとつの意思に基づいて活動した普通の若者たちがいた。」

インタビューの中盤以降から、本作のストーリー、登場人物たちを丁寧に解説していきます。すでに本作を一読した方なら頷きながらより理解が進むでしょうし、まだの方はこんなにも魅力的な登場人物たちが登場する作品ということで、きっと読んでみたくなるはずです。

今、最も脂の乗った作家の新作、また作家像に徹底して深掘りできる内容です。ぜひご一読ください。

[2023年11月3日号販売ページ]
https://jinnet.dokushojin.com/products/3513-2023_11_03_pdf

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【「読書人隣り」イベント情報】
 イベントスペース「読書人隣り」で近日開催するイベントをご案内します。会場は本の街、東京・神保町です(地下鉄神保町駅徒歩3分、JR御茶ノ水駅徒歩10分)。お仕事終わりや学校帰り、神保町散策のあとなどにぜひ遊びにいらしてください。
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★来週開催!

 

バタイユ入門講義(第1回)
テーマ:『呪われた部分・全般経済学試論・蕩尽』第一部・第二部

【講師】
仲正昌樹

日 時:11月11日(土)18時~

いま、再注目のバタイユを、全体を俯瞰しつつ、丁寧に読解。最もまとまった形で表現されているテクストを通じて、その核心に迫る。

文学、芸術、哲学、経済人類学にわたる広範な批評活動を通して、フランス現代思想に強い影響を与え、日本でも栗本慎一郎等が主要な参照項にしていたことが知られているものの、バリエーションに富む独特の叙述スタイルのゆえに、その全体像があまり伝わっていない、バタイユの思想を、彼の思想が最もまとまった形で表現されている『呪われた部分・全般経済学試論』と『エロティシズム』を精読する。キリスト教神学、ヘーゲル、ニーチェと、レヴィ=ストロース、ドゥルーズ等を繋ぐバタイユの位置を明らかにすることを試みる。『内的体験』や『有罪者』『非―知』などのよく知られたテクストでの議論も可能な限り視野に入れながら解説していく。

【来場チケット】https://jinnet.dokushojin.com/products/seminar20231111
【配信チケット】https://jinnet.dokushojin.com/products/seminar20231111_online

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齋藤元紀講演

 

ハイデガーは『存在と時間』への自己批判をいかにして展開したのか――「黒ノート」およびその周辺資料から

【講師】
齋藤元紀

日 時:11月17日(金)19時~

ハイデガーの主著と言えば、たいてい誰もが『存在と時間』(1927年)を思い浮かべるだろう。だが周知のとおり、この書物は中途で挫折した未完の書物である。1953年の第7版刊行時に「前半」という文言を削除することで、ようやくハイデガー自身もその未完の事実を認めたのだが、もちろんこの四半世紀の間、『存在と時間』をめぐる格闘は存続していた。否、それどころか以後も晩年に至るまで、ハイデガーは『存在と時間』に対する飽くなき自己批判を展開していたのである。その歩みがようやく、昨年刊行が完結した「黒ノート」およびその周辺資料から明らかになりつつある。本セミナーでは、それら資料を徹底的に読み解き、ハイデガーの自己批判の過程を究明することで、『存在と時間』の挫折の理由のみならず、『存在と時間』の思想の核心に迫る。表面的な読解では決して達しえない、『存在と時間』のうちに潜む思想の深遠かつ長大な射程を明らかにすることを目指したい。

【来場チケット】https://jinnet.dokushojin.com/products/event20231117
【配信チケット】https://jinnet.dokushojin.com/products/event20231117_online

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【ご案内】
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