【What's New!】週刊読書人6月23日号

【特集】
鼎談=滝浦真人×椎名美智×阿部公彦
<言葉の新たな視点と地平>
『イン/ポライトネス からまる善意と悪意』(ひつじ書房)刊行を機に


『大統領から読むアメリカ史』(第三文明社)刊行を機に
対談=簑原俊洋×阿川尚之(8)★記事無料公開


【読物】
◇連載=「映画の快楽/美しい映像」(ジャン・ドゥーシェ氏に聞く)(聞き手=久保宏樹)(5)
連載=〈書評キャンパス〉原田隆之著『痴漢外来』(石井雄大)(5)
◇連載=日常の向こう側 ぼくの内側(横尾忠則)(7)


【書評】
〈3面〉
ミシェル・ヴィノック著『クレマンソー』(藤林道夫)★記事無料公開
▽佐藤香寿実著『承認のライシテとムスリムの場所づくり』(見原礼子)
▽神谷光信著『村松剛』(先崎彰容)

〈4面〉
▽宇野邦一著『非有機的生』(小林成彬)
▽ボブ・ディラン著『ソングの哲学』(飯野友幸)
ルイズ・ブルックス著『ハリウッドのルル』(児玉美月)★記事無料公開

〈5面〉
竹本健治著『話を戻そう』(若林 踏)★記事無料公開
▽ダニエル・ハーン編著『世界児童文学百科』(野上 暁)
▽下村作次郎著『台湾原住民文学への扉』(中村 平)

〈6面〉
▽今村武・佐藤憲一編『越境のパラダイム、パラダイムの越境』(今井亮一)
▽四方幸子著『エコゾフィック・アート』(小林雅博)
阿部卓也著『杉浦康平と写植の時代』(宮地 知) ★記事無料公開

※記事の無料公開は6月23日(金)の10時以降から順次行っていきます。

巻頭特集は

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鼎談=滝浦真人×椎名美智×阿部公彦
<言葉の新たな視点と地平>
『イン/ポライトネス からまる善意と悪意』(ひつじ書房)刊行を機に

【本紙イントロより】
 『イン/ポライトネス からまる善意と悪意』がひつじ書房より刊行された。現在、言語学の方面で注目を浴びている「インポライトネス」とはなにか。文学と言語学のコラボによる新たなる地平とは。本書刊行を機に、編者である滝浦真人氏、椎名美智氏、執筆者の一人である阿部公彦氏に鼎談をお願いした。(編集部)
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 今号を手に取ってもらったとき、あるいは販売ページのサムネイルでもいいのですが、本書帯の「ディスることに発揮される創造性!?」というフレーズが目に入ってくると思います。どういうことだろうと思った方はぜひともお三方の鼎談をお読みください。

 ポライトネスの対義語としてのインポライトネスについて、研究の意義も含めてどういうことか滝浦真人さんが解説します。

 「現実の会話では人間関係を壊すようなやりとりも多くあります。(中略)あるいは、少数者や「他者」の属性を持っている人に対して掛けられる排除的な言葉などもあります。にもかかわらず、言語の学は、そうした「美しくない言葉」に目を向けてきていないのではないか。(中略)他者を心地よくしようとしない「インポライト」な言葉についても、学問的な対象として真摯に探求していく必要があるのではないか……。」

 では、帯の「ディスることに発揮される創造性!?」とはどういうことか。この点について、鼎談の中盤に椎名美智さんが解説していますのでかいつまんで紹介します。

 「私は、呼びかけ語を中心に分析しましたが、(中略)親愛語では語彙も使い方も定型的なんです。ほとんど〝Dear〞しか使われていないと言ってもいいくらい。(中略)

 一方で、悪態の方は語彙がすごく豊富。バラエティー豊かで名詞も形容詞も豊か。そこに強い感情に突き動かされる創造性を感じます。(中略)相手が考えもしない角度から球を投げるとダメージも大きい。憎しみが大
きければ大きいほど、相手にダメージを与えるために創造力が発揮されているのではないかと思いました。」

 今で言えばネットスラングなんかが典型かもしれません。言葉だけでなく、顔文字、絵文字、さまざまなものを駆使して新しいフレーズを生み出していく創造力は褒められたものではないにしてもある種の凄みを感じます。

 鼎談本編では阿部公彦さんが寄稿した『明暗』論を端緒に、『明暗』におけるポライトネス↔インポライトネスの語法分析やヘイトスピーチの議論まで、言語学、文学、社会学的な領域を横断しながら、ディスる言葉を掘り下げていきます。本紙読者にとっても好奇心のくすぐられるお話になっていますので、ぜひご一読ください。
[2023年6月23日号販売ページ]
https://jinnet.dokushojin.com/products/3494-2023_06_23_pdf

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【「読書人隣り」イベント情報】
 イベントスペース「読書人隣り」で近日開催するイベントをご案内します。会場は本の街、東京・神保町です(地下鉄神保町駅徒歩3分、JR御茶ノ水駅徒歩10分)。お仕事終わりや学校帰り、神保町散策のあとなどにぜひ遊びにいらしてください。
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★7月末に開催

■田中秀臣×栗原裕一郎トークイベント
<不寛容な時代に抗う言論は~肥大化するキャンセルカルチャー問題を考える>

日時:7月28日(木)19時~(約1時間半予定)

加速するSNS時代に起きたこの潮流に抗うためには、どのような態度、言論でのぞむべきなのか。たびたび、この問題についてメディアなどで言及をしている、経済学者の田中秀臣氏と文芸評論家の栗原裕一郎氏に対談いただき、いま目の前で起きているキャンセルカルチャーの問題をめぐって、この機会に徹底的に議論してもらう。

【登壇者】
田中秀臣(経済学者)
栗原裕一郎(文芸評論家)

【来場チケット】https://jinnet.dokushojin.com/products/event20230728
【配信チケット】https://jinnet.dokushojin.com/products/event20230728_online

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★7月15日開催!

■「本気で、村上春樹を読んでみたい」精読者のための入門講座(第6回)
テーマ:『IQ84』後半

講 師:仲正昌樹
日 時:7月15日(土)18時~

日本を代表する世界文学作家の意外にも、語られることが少なかった現代思想や哲学の視点とは?
逆に、思想・哲学にも世界的に影響を与えている、その世界観とは?
ハルキ・ワールドの真の凄さを一緒に熟読吟味する徹底読解講座。

【来場チケット】https://jinnet.dokushojin.com/products/seminar20230715
【配信チケット】https://jinnet.dokushojin.com/products/seminar20230715_online

 

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