【What's New!】週刊読書人12月9日号

【特集】
佐々涼子インタビュー
<人間の尊厳とはなにか>
『ボーダー 移民と難民』(集英社インターナショナル)刊行を機に録

■温又柔インタビュー
『祝宴』(新潮社)刊行を機に(7)(8)

【読物】
▽映画時評〈12月〉(伊藤洋司)(2)
◇連載=「ギリシア演劇とストローブ」(ジャン・ドゥーシェ氏に聞く)(聞き手=久保宏樹)(5)
◇連載=日常の向こう側 ぼくの内側(横尾忠則)(7)
◇連載=中平卓馬をめぐる50年目の日記(柳本尚規)(7)


【書評】
〈3面〉
▽三浦佑之著『風土記博物誌』(伊藤龍平)
▽馬場朝子著『ロシアのなかのソ連』(沼野恭子)
堀千晶著『ドゥルーズ 思考の生態学』(江川隆男)★記事無料公開

〈4面〉
野添文彬著『沖縄県知事』(鈴木英生)★記事無料公開
▽長竹孝夫著『首都圏の「綻び」』(栗原真史)
▽橋爪大三郎著『アメリカの教会』(嶋田律之)

〈5面〉
▽アン・カーソン著『赤の自伝』(田中庸介)
▽日高昭二著『重ね書きする/される彼ら』(中村三春)
巽孝之著『慶應義塾とアメリカ』(笠根 唯)★記事無料公開

〈6面〉
▽庄子大亮著『アトランティス=ムーの系譜学』(長谷川亮一)
ショーン・フェイ著/清水晶子解説『トランスジェンダー問題』(吉野 靫)★記事無料公開
▽ギャリー・ジェンキンス著『ずっとのおうちを探して』(箕輪さくら)

※記事の無料公開は12月9日(金)の19時以降から順次行っていきます。

巻頭特集は

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佐々涼子インタビュー
<人間の尊厳とはなにか>
『ボーダー 移民と難民』(集英社インターナショナル)刊行を機に録

【本紙イントロより】

 ノンフィクション作家の佐々涼子氏が『ボーダー 移民と難民』(集英社インターナショナル)を刊行した。刊行を機に、佐々氏にインタビューをお願いした。(編集部)

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 これまで、日常でなかなか知り得ない国際霊柩送還士や震災後の製紙工場、終末医療の問題などを丹念に取材して読者に届けてきた佐々涼子さんが最新刊で取り上げたテーマは「入管問題」でした。

 入管に関する議論はウィシュマさんの問題により、注目が集まり、議論が加速しました。では、ウィシュマさん以外の入管で留めおきにされている方々はどうなのか。冒頭インタビュアーの「入管の構造の酷さを初めて聞いたわけではありませんが、ここまで酷いかと。」発言に対して佐々さんも「私もここまで酷いとは思っていなかったんです。」と答え、また少しあとのくだりで「死ななくていい人が見殺しにされ、誰にも救われることなく、ひとりぼっちで死んでいた。今まで見たことがない、残酷な死でした。」とも語っています。

 そして、佐々さんは過去の取材経験と自身の執筆態度を顧みつつ、このようにも述べています。

 「基本的には人を悪く書かないことと、両論併記を信条にしてきましたが、今回ばかりはどう考えても、いくら取材をしても、入管の状況には啞然とするしかなかった。客観的に見て常軌を逸しているし、越えてはいけない一線を越えてしまっている。」

 加えて、問題を問題とも認識していない入管の闇にも言及し、本紙を一読いただくだけでもその根深さの一端を十分に知ることができます。一方で記事の終盤では一縷の光明も見出します。そこにもしっかり焦点を当てるのが佐々さんらしいところでもあるといえます。そういった点からもぜひ本記事をお読みいただき、入管問題を今一度考える材料にしていただければと思います。

https://jinnet.dokushojin.com/products/3468-2022_12_09_pdf
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【近日開催イベント】
イベントスペース「読書人隣り」で近日開催するイベントをご案内します。会場は本の街、東京・神保町です(地下鉄神保町駅徒歩3分、JR御茶ノ水駅徒歩10分)。お仕事終わりや学校帰り、神保町散策のあとにぜひ遊びにいらしてください。
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★森山 工×重田園江 W刊行記念トークイベント
「モースとアーレントを再読する――〈戦争〉の時代に」
日時:12月15日(木)19時~20時30分

森山工著『「贈与論」の思想 マルセル・モースと〈混ざりあい〉の倫理』(インスクリプト)、重田園江著『真理の語り手 アーレントとウクライナ戦争』(白水社)刊行をめぐって、それぞれの著者によるトークイベントを開催。

「混ざりあい」を着眼点に、アカデミアの人であり社会活動家でもあったモースの全体像と主著『贈与論』を読み解く――『「贈与論」の思想』。
危機の思想家アーレント視点から、政治/戦争/暴力の背景を探る――『真理の語り手』。

マルセル・モース(1872-1950)と、ハンナ・アーレント(1906- 1975)はともに激動の時代の中で、思索を重ねていった思想家である。彼らの視点を通し、「社会主義」「全体主義」「政治」「戦争」などをキーワードに、社会そのものの〝在り方〟を考える。

【来場チケット】https://jinnet.dokushojin.com/products/event20221215

【配信チケット】https://jinnet.dokushojin.com/products/event20221215_online
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【ご案内】
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