【What's New!】週刊読書人6月9日号

【巻頭特集】
ロング書評・仲正昌樹
<思想史研究書を読む醍醐味>
王寺賢太著『消え去る立法者 フランス啓蒙における政治と歴史』(名古屋大学出版会)を読む


■『街とその不確かな壁』を読む会 抄録
講師=高澤秀次
(2)

【読物】
論潮〈6月〉(森脇透青)(3)★記事無料公開
文芸〈6月〉(山﨑修平)(5)★記事無料公開
▽映画時評〈6月〉(伊藤洋司)(7)
▽追悼=福間健二(野村喜和夫)(8)
▽追悼=木下卓(中村邦生)(8)
◇連載=「フォード映画とアメリカ」(ジャン・ドゥーシェ氏に聞く)(聞き手=久保宏樹)(5)
連載=〈書評キャンパス〉加納朋子著『カーテンコール!』(川田愛珠)(5)
◇連載=日常の向こう側 ぼくの内側(横尾忠則)(7)
◇連載=中平卓馬をめぐる50年目の日記【最終回】(柳本尚規)(7)


【書評】
〈3面〉
▽鹿島茂著『思考の技術論』(津崎良典)
▽山下尚一著『ショアあるいは破滅のリズム エポック1・2』(永岑三千輝)

〈4面〉
ダニエル・ステルン著『女がみた一八四八年革命 上・下』(鳴子博子)★記事無料公開
▽名倉ミサ子著『解読 真珠庵本『百鬼夜行絵巻』の暗号』(郡司祐弥)
▽五十嵐大著『聴こえない母に訊きにいく』(吉岡佳子)

〈5面〉
▽尼ヶ﨑彬著『花鳥の使』(柿内正午)
河内恵子編著『書くことはレジスタンス』(奥畑 豊)★記事無料公開

〈6面〉
▽李瑛恩著『朝鮮国民女優・文藝峰の誕生』(四方田犬彦)
五月あかり・周司あきら著『埋没した世界』(高島 鈴)★記事無料公開
▽竹中均著『自閉症が文化をつくる』(佐藤剛介)

〈8面〉
栗原俊雄著『硫黄島に眠る戦没者』(浜井和史)★記事無料公開
▽原裕司著『取材現場は地方に宿る』(水口義朗)

※記事の無料公開は6月2日(金)の10時以降から順次行っていきます。

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今週は1面巻頭ロング書評、2面イベント抄録と特集2本立ての号です。

まず1面の特集は、
ロング書評・仲正昌樹
<思想史研究書を読む醍醐味>
王寺賢太著『消え去る立法者 フランス啓蒙における政治と歴史』(名古屋大学出版会)を読む

【本紙イントロより】
 一八世紀フランス、「啓蒙の時代」の哲学者たちの立法者論を焦点として、それぞれの著者の政治理論と歴史認識の関係を明らかにすることが目指された、進取の政治思想史が刊行された。王寺賢太著『消え去る立法者 フランス啓蒙における政治と歴史』(名古屋大学出版会)について、金沢大学教授の仲正昌樹氏に書評をご寄稿いただいた。(編集部)
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 この書評を簡潔に紹介するのもいささか難しいので、結びの一節のみを紹介します(おそらくここの部分を引用しても本文を読む上では差し支えがないと思いますので・・・・・・)。<知的緊張感に満ちた大著>と本書を評しつつも、続けて<強引すぎると思われる解釈>があるとも仲正昌樹さんは述べ、その箇所を指摘します。しかし、最後に次のようなことを綴り、本文をまとめています。

 「とはいえ、そうした強引さが文献学的に正当化されるのか考えながら読むのも、思想史研究書を読む時の醍醐味だろう。」

 500頁超えの大著にふさわしい、仲正さんによる重厚な書評は、本書を読む最良の手引になっています。ぜひご一読ください。

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次に2面の特集は、
『街とその不確かな壁』を読む会抄録
講師=高澤秀次

【本紙イントロより】
 文芸評論家の高澤秀次氏に五月二十日、トークイベント《村上春樹『街とその不確かな壁』を読む会》を開催いただいた。新作のみならず村上作品について、様々な角度から考察を伺う機会となった。その一部を載録する。  (編集部)

 3時間弱に及ぶ読書会から、高澤秀次さんの講義のみならず、参加者とのディスカッション、オンライン配信参加者の質問への回答など、新作『街とその不確かな壁』を深く読み込む上で、あるいは村上春樹文学を再読する上での魅力的なヒントが多く提示されました。また休憩の合間に村上春樹さんの好きなジャズの音源も流し、村上春樹さんの気分を味わい、あるいは「イエローサブマリンの少年」の話になったときは、その話の延長で、金沢明子さんが歌う「イエローサブマリン音頭」をみんなで聞くという一幕も。本編の真面目な考察と、合間のリラックスした歓談が入り混じった和やかな会になりました。

 高澤さんは新作含め村上春樹作品に共通する物語構造に次のように解説します。

 「物語構造について、かつて著者自身が語ったキーワードは「seek and find=探索し、発見する」というものです。(中略)村上春樹の小説は、「喪失→探索→発見→再喪失」という構造になっている。「find」の次の段階で主人公は、必ずさらに大きな喪失に苛まれることになります。(中略)この構造は今回の小説にも反復されています。先ほど言いましたように、取り戻しようがない彼女との関係、これが村上作品で反復的に変奏される主題です。」

 『街と不確かな壁』や村上春樹作品がさらにおもしろくなる高澤さんによる解説をぜひお楽しみください。

[2023年6月9日号販売ページ]
https://jinnet.dokushojin.com/products/3492-2023_06_09_pdf

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【「読書人隣り」イベント情報】
 イベントスペース「読書人隣り」で近日開催するイベントをご案内します。会場は本の街、東京・神保町です(地下鉄神保町駅徒歩3分、JR御茶ノ水駅徒歩10分)。お仕事終わりや学校帰り、神保町散策のあとなどにぜひ遊びにいらしてください。
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★今週土曜日(6月10日)開催!

■「本気で、村上春樹を読んでみたい」精読者のための入門講座(第5回)
テーマ:『IQ84』前半

講 師:仲正昌樹
日 時:6月10日(土)18時~

日本を代表する世界文学作家の意外にも、語られることが少なかった現代思想や哲学の視点とは?
逆に、思想・哲学にも世界的に影響を与えている、その世界観とは?
ハルキ・ワールドの真の凄さを一緒に熟読吟味する徹底読解講座。

【来場チケット】https://jinnet.dokushojin.com/products/seminar20230610
【配信チケット】https://jinnet.dokushojin.com/products/seminar20230610_online

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★7月末に開催

■田中秀臣×栗原裕一郎トークイベント
<不寛容な時代に抗う言論は~肥大化するキャンセルカルチャー問題を考える>

日時:7月28日(木)19時~(約1時間半予定)

加速するSNS時代に起きたこの潮流に抗うためには、どのような態度、言論でのぞむべきなのか。たびたび、この問題についてメディアなどで言及をしている、経済学者の田中秀臣氏と文芸評論家の栗原裕一郎氏に対談いただき、いま目の前で起きているキャンセルカルチャーの問題をめぐって、この機会に徹底的に議論してもらう。

【登壇者】
田中秀臣(経済学者)
栗原裕一郎(文芸評論家)

【来場チケット】https://jinnet.dokushojin.com/products/event20230728
【配信チケット】https://jinnet.dokushojin.com/products/event20230728_online

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