【What's New!】週刊読書人7月21日号

【特集】
今井むつみ・秋田喜美インタビュー
<知性とは、人間とはなにか>
『言語の本質 ことばはどう生まれ、進化したか』(中央公論新社)

【読物】
▽平和博著『チャットGPT 人類』から考える(川口好美)(2)
▽著者から読者へ=『マルチスポーツを科学する』(大山高)(7)
柴野京子講演「横断的な読書環境と社会のアーカイブ 図書館・書店・読者」レポート(8)★記事無料公開
◇連載=「映画が煌めく瞬間」(ジャン・ドゥーシェ氏に聞く)(聞き手=久保宏樹)(6)
連載=〈書評キャンパス〉イェーリング著『権利のための闘争』(髙橋綺那)(6)★記事無料公開
◇連載=日常の向こう側 ぼくの内側(横尾忠則)(7)
◇連載=戯史 平成紀〈七月〉(安倍夜郎)(7)


【書評】
〈3面〉
▽シェリル・ミサック著『真理・政治・道徳』(大賀祐樹)
齋藤純一・谷澤正嗣著『公共哲学入門』(高田宏史)★記事無料公開
▽沖縄タイムス社編『沖縄の生活史』(田仲康博)

〈4面〉
▽日本語版「消えたレノンウォール」翻訳委員会編『香港 絶望のパサージュから語りの回廊へ』   (阿古智子)
▽西村祐子著『皮革とブランド』(内藤陽介)
▽平井玄著『鉛の魂』(菅原慧祐)

〈5面〉
松本直美著『ミュージック・ヒストリオグラフィー』(齋藤 桂) ★記事無料公開
清田隆之著『おしゃべりから始める私たちのジェンダー入門』(セメントTHING)★記事無料公開
▽安藤聡著『なぜ英国は児童文学王国なのか』(佐藤飛美)

〈6面〉
赤坂憲雄著『奴隷と家畜』(太田靖久)★記事無料公開
小野俊太郎著『シェイクスピアの戦争』(渡辺祐真)★記事無料公開
▽福田節郎著『銭湯』(真戸礼子)

※記事の無料公開は7月14日(金)の10時以降から順次行っていきます。

巻頭特集は

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今井むつみ・秋田喜美インタビュー
<知性とは、人間とはなにか>
『言語の本質 ことばはどう生まれ、進化したか』(中央公論新社)

【本紙イントロより】

 AI関連の本が注目を集める一方、根本的な命題に挑む『言語の本質 ことばはどう生まれ、進化したか』(中央公論新社)がベストセラーになっている。著者の慶應義塾大学教授・認知科学者の今井むつみ氏と、名古屋大学准教授・言語学者の秋田喜美氏にお話を伺った。 
 併せて今号では、言語学関連書を書籍広告で紹介する。(編集部)
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一時の狂乱に似たChatGPTブームが一段落し、「どんなものか」を議論するフェーズから「どう使うか」、ビジネスの現場ではより具体的なフェーズに移行したのではないでしょうか。

言語生成AIが作る文章が、昔のイメージとは異なる、それなりに流暢なものを一瞬で作る光景を見た人からしたら、少なからず驚きがあったと思います。そもそも言語とは何か、その本質を突き詰めると、人間が日々生み出す言語とAIによるそれとは異なる。今回のインタビューを読むとそのことが掴めてくると思います。

そもそも、今回のテーマ本の『言葉の本質』とAIの距離感はどのようなものか。冒頭で今井むつみさんが次のような発言をします。

「本書は、AIを中心テーマにおいているわけではありませんが、キーワードの一つである「記号接地」は、もともとAIの問題として考えられたものです。一九九〇年前後に、AIの記号処理アプローチへの批判として提起されたもので、身体感覚や経験に接地していない記号同士を操作して、言語の本当の「意味」が学習できるのかと。記号接地はAIだけでなく、人間の問題でもあると私は考えました。」

記号設置問題がオノマトペにつながります。そして、オノマトペを考えることが、人間がどのように言語習得していくかのキーになる議論が展開されます。そして秋田喜美さんはオノマトペを創出できるかどうかが、人間とAIの違いであることだと指摘します。

「たとえば「モフモフ」「コシコシ」「ふるふる」などは、二〇〇〇年代以降、新たに生みだされたオノマトペですが、人間がその場限りで新たなことばを生み出したりするような、創造的な生産性というものはおそらくAIにはないのでしょう。」

加えて今井さんが次のような発言をします。

「AIは大量にもっているデータの範囲内で、今ある文脈やことば、センテンス、フレーズの次に何が来るのかを、統計的に予測して抽出しているに過ぎません。(中略)ゼロから今までにないものを創造してはいない。」

AIの加速度的な進歩に驚かされることが多い昨今で、改めて人間の言葉を創造していく「力」にも驚かされます。AIが得意なこと、人間が得意なこと、それぞれを正しく見極めることができるおふたりのお話です。ぜひご一読ください。

[2023年7月21日号販売ページ]
https://jinnet.dokushojin.com/products/3498-07_21_pdf

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【「読書人隣り」イベント情報】
 イベントスペース「読書人隣り」で近日開催するイベントをご案内します。会場は本の街、東京・神保町です(地下鉄神保町駅徒歩3分、JR御茶ノ水駅徒歩10分)。お仕事終わりや学校帰り、神保町散策のあとなどにぜひ遊びにいらしてください。
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★来週開催!

■田中秀臣×栗原裕一郎トークイベント
<不寛容な時代に抗う言論は~肥大化するキャンセルカルチャー問題を考える>

日時:7月28日(木)19時~(約1時間半予定)

加速するSNS時代に起きたこの潮流に抗うためには、どのような態度、言論でのぞむべきなのか。たびたび、この問題についてメディアなどで言及をしている、経済学者の田中秀臣氏と文芸評論家の栗原裕一郎氏に対談いただき、いま目の前で起きているキャンセルカルチャーの問題をめぐって、この機会に徹底的に議論してもらう。

【登壇者】
田中秀臣(経済学者)
栗原裕一郎(文芸評論家)

【来場チケット】https://jinnet.dokushojin.com/products/event20230728
【配信チケット】https://jinnet.dokushojin.com/products/event20230728_online

 

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